パフォーマンス指標

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ホテル

ホテル収益の全体最適化戦略

宿泊施設の経営において、最も大切なのは、施設全体の収益を最大にすることです。そのためには、ただ宿泊部屋の稼働率を上げるだけでなく、もっと広い視野で、様々な角度から収益源を考える必要があります。これを全体最適といいます。 従来は、宿泊部屋がいっぱいになることばかりに注目が集まりがちでした。しかし、全体最適の考え方は、限られた設備や人員をどのようにうまく活用すれば、一番利益を生み出せるのかを追求するものです。つまり、宿泊部屋だけでなく、食事を提供する場所や、多くの人が集まる催しを開く場所、その他売店や娯楽施設など、ホテルにあるすべての施設をうまく連携させ、全体として最大の収益を上げることを目指します。 例えば、大きな催しで多くの人がホテルを利用する日が決まっていると想像してみてください。その日は宿泊部屋の需要も高まることが予想されます。そこで、事前にその影響を予測して、宿泊料金を調整することで、より大きな収益を得ることが可能になります。もし、催しに参加する人が宿泊部屋を予約しなくても、食事をする場所や売店を利用する可能性があります。全体最適の考え方は、これらの要素をすべて考慮に入れます。 また、それぞれの施設の稼働状況を常に把握し、状況に応じて臨機応変に対応することも重要です。例えば、宿泊の予約が少ない時期には、食事をする場所の特別な催しを企画して集客を促したり、会議室を貸し出して新たな顧客を開拓したりするなど、様々な工夫が考えられます。全体最適とは、このように様々な状況に合わせて最適な戦略を立て、ホテル全体で最大の収益を上げるための、総合的な取り組みなのです。
組織

ホテル経営の羅針盤:STRレポート活用術

宿泊施設の経営において、自社が置かれている状況を正しく理解することは、今後の発展に向けた計画を立てる上で極めて大切です。競合となる他の宿泊施設の状況や、市場全体がどのような動きをしているのかを把握することで、的確な経営判断を行うことができるようになります。そのための指針となるのがSTRレポートです。 STRレポートを活用することで、自社の客室の利用状況を示す稼働率や、一室あたりの平均的な売上を示す平均客室単価、そして収益の状況を示す指標を、競合となる他の宿泊施設や市場全体と比較することができます。この比較を通して、自社の良い点と悪い点をはっきりさせ、改善すべき点を見つけることができるのです。 例えば、自社の客室稼働率が競合他社よりも低いことが分かれば、集客のための新たな方法を検討する必要があるでしょう。具体的には、宿泊料金の見直しや、販売促進のための活動を強化するなどが考えられます。また、平均客室単価が低い場合は、顧客へのサービス内容を見直し、より付加価値の高いサービスを提供することで単価の向上を目指すことができます。顧客が快適に過ごせる空間づくりや、きめ細やかな接客など、様々な工夫が考えられます。 このように、STRレポートによる比較分析は、価格戦略の見直しや販売促進活動の強化、顧客サービスの向上といった具体的な行動に繋がるため、ホテル経営の土台を支える重要な役割を担っていると言えるでしょう。市場の動向を常に把握し、自社の強みと弱みを明確にすることで、更なる成長へと繋げることが可能になります。