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ホテルでのお悔やみ:不祝儀盆の役割

不祝儀盆とは、葬儀や法事といった弔いの席で、金品を供える際に用いる黒い塗りの盆のことです。落ち着いた雰囲気を持つ黒塗りは、厳かな場にふさわしいとされ、古くから広く使われてきました。 材質は主に木で、漆塗りが一般的です。表面にはつや消しの加工が施されていることが多く、光を抑えた落ち着いた黒色が、静かで厳粛な雰囲気をより一層引き立てます。近年では、簡素な木製のものや、手軽なプラスチック製のものも見られますが、正式な場では、やはり伝統的な漆塗りのものが好まれます。 大きさは様々ですが、縦およそ三十センチ、横およそ四十センチ程度のものが多く使われています。これは、不祝儀袋を数枚載せられる程度の大きさで、安定感もあるため、持ち運びにも適しています。葬儀や法事の場で広く利用されているのは、こうした実用性も理由の一つと言えるでしょう。 不祝儀盆は、ホテルで行われる法事でも重要な役割を果たします。受付にて参列者からいただいた不祝儀袋を丁寧にこの盆に載せ、遺族に渡すまでの間、大切に保管しておくために使われます。不祝儀袋を裸のまま持ち運ぶのは失礼にあたるとされており、不祝儀盆を使うことで、相手に敬意を示すことができます。また、不祝儀盆があることで金品の受け渡しが滞りなく行われ、厳粛な場における秩序と礼節が保たれます。 このように、不祝儀盆は単なる道具ではなく、弔いの席における大切な作法の一つと言えるでしょう。故人を偲び、遺族に弔意を表す上で、欠かせないものとなっています。落ち着いた黒色の漆塗りの盆は、静かで厳かな雰囲気を演出し、弔いの心をより深く伝える役割を担っていると言えるでしょう。