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制度

空の自由化:カボタージュの現状と課題

カボタージュとは、ある国の中で行われる旅客や貨物の輸送を、その国自身の業者だけに制限する制度のことです。簡単に言うと、自国の領土内における移動は、自国の業者のみが行うことを原則とするということです。たとえば、日本の港と港の間で荷物を運ぶ場合、日本の船会社だけがこの輸送を行うことができ、外国の船会社は行うことができません。 この制度は、まるで縄張りを作るかのように、国内の輸送市場を自国の業者で囲い込むことによって、様々な効果を生み出すことを目的としています。まず、国内の輸送業者を外国の業者との競争から守り、育成することを目指しています。競争相手がいない、あるいは少ない状態であれば、新しい会社も生まれやすく、生まれた会社も成長しやすいと考えられます。また、国内の輸送路や輸送網を安定的に確保するという狙いもあります。外国の業者に輸送を頼ってしまうと、国際情勢の変化や他国の都合によって、運賃が高くなったり、輸送が急に止まったりする可能性があります。自国の業者で輸送を行うようにすることで、このような事態を避け、国民生活や経済活動を安定させることができると考えられています。 カボタージュは、海だけでなく空の輸送にも適用されます。例えば、日本の航空会社だけが日本の都市間を結ぶ旅客輸送を行うことができ、外国の航空会社は行うことができません。 この制度は国際的に広く普及しており、多くの国で採用されています。自国の産業保護や安全保障の観点から重要な制度と捉えられています。しかし、一方で、国際競争が促進されにくくなるという側面も持っています。競争がないため、運賃が高くなる、あるいはサービスの質が向上しないといった事態も懸念されます。そのため、カボタージュの導入については、それぞれの国の状況に応じて、メリットとデメリットを慎重に検討する必要があります。