
NDCで変わる航空券販売の未来
『新しい流通能力』という意味を持つ『ニュー ディストリビューション ケイパビリティ』、略してエヌディーシーは、国際航空運送協会、通称イアタが新しく提案するデータ通信の仕組みです。この仕組みは、これまでの航空券の販売方法では、航空会社が提供する運賃や乗客へのサービス内容を伝えきれないという問題を解決するために作られました。
従来の航空券販売システムでは、航空会社が提供できる運賃の種類や座席の種類、機内食、手荷物といったサービス内容を、旅行会社や乗客に十分に伝えることができませんでした。例えば、エコノミークラスでも足元の広い席や窓側の席など、様々な種類の座席があるにも関わらず、予約時にその情報を詳しく伝えることができませんでした。また、航空会社独自の割引運賃や特別なサービスについても、十分に伝えることができず、乗客にとって最適な選択肢を選ぶことが難しくなっていました。
エヌディーシーは、エックスエムエルと呼ばれるデータ形式を採用することで、より多くの情報を旅行会社や乗客に伝えることを可能にします。これにより、航空会社はこれまで以上に多様な運賃やサービスを、乗客に分かりやすく提示できるようになります。例えば、座席指定や追加の手荷物といったサービス、あるいは航空会社独自の特別な運賃などを、写真や動画などを使い、より分かりやすく説明することができるようになります。
乗客にとっては、自分に合った最適なサービスを比較検討し、選べるようになるため、旅行の満足度がさらに高まることが期待されます。例えば、足元の広い席を希望する乗客は、予約時にその情報を簡単に確認し、座席を指定することができます。また、機内食や手荷物に関する情報も事前に確認できるため、自分に必要なサービスを選択し、不要なサービスに費用をかける必要がなくなります。
さらに、エヌディーシーは、イアタの認証を受けた会社であれば誰でも利用できる、開かれた仕組みです。この誰でも使える仕組みは、航空券販売市場での競争を促し、より画期的なサービスを生み出す力になると考えられています。新しい会社が市場に参入し、様々なサービスを提供することで、乗客にとってより多くの選択肢が生まれることが期待されます。